和歌山探検隊の仁尾さんと考える ”はたらくこと”への向き合い方

「働くこと」って、人にとってどういう意味があると思いますか。

このブログに携わるなかで、「働くことは生きがい」「したいことで食べていきたい」という話によく出会います。 ただ、それが全てでも、それが正解でもない。 「働くこと」と「暮らすこと」についてとても考えさせられたこの話。 プライベートでは「和歌山探検隊」というチーム名で、和歌山を楽 しみ方を提案している仁尾さんからお聞きしたことでした。

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1509167_713768155404583_5982282149434614349_n仁尾 祥吾(Nio Syogo)

1992 年紀の川市生まれ
「和歌山探検隊」として、同世代の若者が楽しめる イベントづくりや、和歌山の魅力をスナップ写真を 通して発信している。

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そもそも、就職するときには、「どんなふうに働きたい」とは特に考えていなかったそうです。自分の今の成績で就職できる企業の中で、一番名前の通っていたのが今の会社だったとのこと。

 

僕は事情あって大学にはいけなかったのですが、周りの友達は特に何をしたいというのはないけど、なんとなくそうしておくほうがいい気がするから大 学に行った子が多かった。それと同じような感覚で、そうするものだと思っ たから就職したのだと思います。

 

そうして就いた今の仕事では、工場で作られた製品のチェック作業などが主な業務。ただ、製品といっても、鉄の固まりなどの部品がほとんどで、それがど んなものになっていくのか、一スタッフの今の立場では知ることはなく、正直 “やりがい”なんてほとんど感じる機会はないとのこと。 ただ、その代わりといっていいのか、福利厚生などははとてもしっかりしているそう。

 

給料も高くて残業代も分単位で計算される。同じように高校を高卒資格で働く子たちからするとすごく恵まれてるな、って。 だから、やりがいを感じないから辞めたい、とは思わないんです。

 

そんな仁尾さんは、仕事から帰るとすぐにプライベートの顔になる。 仁尾さんが主宰のひとりをつとめる“和歌山探検隊”の活動は、自分が本当にやりたいこと。「和歌山が好き」という気持ちを、カフェ巡りやスナップ写真、 映画など、自分の大好きなコトや大切な仲間たちと形にしていく活動。 最近ではその活動を通じて、色々な人と出会ったり、声をかけてもらったりと 活動の幅もどんどん広がってきているそう。 これから実現していきたいことも次々と話をしてくれる仁尾さんからは、そうした活動を“起業”という形で将来の自分の仕事にしていくという展望をもっているのでは、と聞いてみたところ、意外にも少し違う答えが返ってきました。

 

好きなことを仕事にすることって、楽しいことばかりじゃないと思うんです。 四六時中それをして、それで食べてかないと、って追い詰めていっちゃうと、 感覚が麻痺して本当に何が好きなことなのかわからなくなる気がする。 普段の仕事にあまりやりがいを感じられないからこそ、それ以外の時間は少 しでもキラキラした世界に近づきたくなるし、好きなことが本当に大事なことだと思えるんじゃないかなって。

 

そんな仁尾さんにとって、働くことは“笑うための準備”だと言います。

「和歌山探検隊」の活動やそれ以外の趣味、大切な人と過ごすこと…。 そういった“好きなこと”をするためには、お金がどうしても必要になる。そ うした大切な時間を過ごすために、必要となるものへの投資、それが仕事。 だからこそ、やりがいがそれほど感じられなくても、仕事には手を抜かない。 好きなことをする準備として働くからには真面目に働かないと、という気持ちで仕事には取り組むようにしているそうです。

 

ただ、その想いは今の仁尾さんにとって。4、5 年後はまたちょっと違ったイメ ージを持っているそうです。
インタビュー時からちょうど 5 年後、27 歳は仁尾さんにとっての“大人のはじまり”。「大人になりたい大人」として、働き方を模索している時期だとと話し てくれました。

 

そのころには、結婚していて子どもは女の子一人。名前は「笑空(えそら)」 って決めてます(笑)

今と違って、いろいろなことに責任を持たなきゃいけなくなる。仕事の階級も上がっているでしょうし、家庭に対しても奥さんだったり子どもだったり を養っていかないといけない。
和歌山探検隊の活動も 27 歳では卒業して、好きなことじゃなくて家庭のために働くようになっているんじゃないのかな。

 

その言葉には、単に自分のしたいことを諦めるということではない、仁尾さん自身のもうひとつの想いも込められています。 自分が大人なっても、今の場所にいることだけが正解ではない。それなら、自分たちは一歩退いて、また次の世代で「和歌山のために何かしたい」という人 たちを育てて道を譲っていく。

仁尾さんは、“今”と“将来”の働くことへの向き合い方を、違った視点で語っ てくれました。ただ、好きなこと、家族、次の世代…。責任の持ち方は確かに違うかもしれないですが、“働くこと”は“笑うための準備”という視点は、ず っと変わってきていないように感じました。

 

“働くことで笑うこと”だけが正解ではない。 “働くことを含めた暮らすことの中で笑えること”。という、仕事への新しい向き合い方について、考える良い機会になったのではないでしょうか。

Categories: 若者インタビュー

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