若者の無業化・ニート化といったニュースについて、「努力が足りない」「根性がない」という風にかたづけられることはよくあります。 まっとうに見える主張ですが、本当にそれは解決につながるのでしょうか? 35歳までの若年無業者の数は約60万人もいる中で、経済は停滞し、社会からの支援も高齢者に向けられたままです。 私たちはいまや、冷静にこの状況を解決していかなくてはならない段階にあります。
さて、「ニート」という言葉に抱くイメージは、世間一般にはあまり良い印象ではないかと思います。 しかし、本当に「ニート」は「働きたくない人たち」が全てなのでしょうか?
「就業構造基本調査」によれば、若年無業者が求職しない理由、就業しない理由のおよそ3割程度が「病気・けがのため」です。 働いていないから「ニート」とくくられてしまうものの見方には、問題があるといわざるを得ないでしょう。 (http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm – 統計局 平成24年就業構造基本調査 http://www.garbagenews.net/archives/1881478.html – GrabageNEWS.com 「ニート」数推移をグラフ化してみる)
また現在の社会では一度コケるとやり直しが非常にききにくく、さらに自分だけでコントロールできない要因でコケてしまうことがあります。 以下に紹介する記事では、以下のような例が挙げられています。 http://toyokeizai.net/articles/-/43636 – 東洋経済 なぜ、「働けない若者」が増えたのか
”資格試験に挑戦して勉強していた期間が履歴書の空白期間となってしまい、資格を諦めた後の就職活動が暗礁に乗り上げてしまった例。大学在学中からアルバイトをしていた会社に認められて正規雇用になったものの、会社の経営が悪化してリストラされてしまった例。有名私大を卒業後、飲食店チェーンに就職したが労働条件が事前に聞いていたものと全く違い、上司との軋轢が増して退職に追い込まれた例などなど。”
このように、若者が無業状態になるプロセスには、構造的な要因もたくさんあります。 あきらめない気持ちはもちろん大切なのですが、文字通り八方ふさがりな状況というのも珍しいことではありません。
上記記事で紹介されている書籍(「無業社会 働くことができない若者たちの未来」)の著者である西田亮介氏は “事実やデータは、「自分が現在、普通に生活できているのは、偶然の産物かもしれない」というような懐疑を持つのに、十分なものだった” と語ります。
若者が、そしてあなたのお子さんやお孫さんが未来を描くことのできる社会に向けて、「ニート」という言葉のイメージだけで思考停止してしまわずに、客観的に事実を把握し、解決に向けて建設的に議論をすすめるべき問題ではないでしょうか。
Categories: コラム
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