動き続けること、そうして出会えるものが「働く」「仕事」になったらすごく素敵だ

今回は、発掘調査に関わる建築士、たきもとつよし さんにインタビューしてきました。

 

建築士で発掘調査、ということですが、どうして今そのような仕事をされているのですか。

元々、大学を出てすぐに住宅会社に就職しました。最初の配属先が新宮市で、住宅の営業をすることになったのですが、周りに空き家がすごく多いのに、新しい家建てませんか、って営業に回るのがすごくモヤモヤしたんです。そんなときに、知り合いの設計事務所の方に話を聞いてもらう機会があったのですが、自分のモヤモヤを代弁してくれて。。。

もっと違った形で設計の仕事に関わりたいということもあり、結局、その仕事を1年たたず退職することにしました。

 

退職されて、すぐに設計事務所で働かれたりしなかったのですか。

もちろんその選択肢もあったのですが、そうするとすぐに軌道に乗ってしまう気がして。。。
そんなときに、学校の事務員をしている父親から、いろいろな方を紹介されることになったんです。

例えば、鹿児島県の種子島で開催される「宇宙芸術祭」のプレイベント。父親を通じての知り合いだった大学の先生からイベントスタッフを手伝ってくれないかということで参加させてもらいました。
新宮市熊野川町では、廃校を利活用する人たちのお手伝いをさせてもらい、ほとんどお金を使わない生活を体験することもありました。
また最近では、社会福祉法人一麦会の市野さんという方には、事務所の一角をお貸しいただいてそこで資格勉強をさせていただいています。
発掘調査の仕事も、そういった流れの一つとして、働くことになりました。

 

「アート」や「福祉」「考古学」と、一見建築とはピンと繋がらないように聞こえるのですが、こういった分野に関わることで、何か得られるものはありましたか。

「生きていくうえで、本当の豊かさとは何か」について、考えるきっかけを与えてくれたと思っています。

種子島の芸術祭のアート作品では、形としてずっと残るものではないのに、人の心を動かし豊かにするものがあるということ、山の学校の活動では、お金を使わない豊かさについて。市野さんとの出会いでは、年をとった後の生き方について考えるきっかけになりましたね。

また、発掘の仕事については、実は建築とつながるところが多いんです。
例えば、掘る前の測量だったり図面おこしだったり。。。
そういった中で、その土地がどんな場所だったかを過去にさかのぼってリアルに知ることができる。昔の人の暮らしていた痕跡がある場所というのは、災害に強かったり地盤がしっかりしていたり、そういったことを過去の人々は感覚的に知ってこの場所で暮らしていた。そんなことに気づけるという意味でもすごくおもしろい仕事だと感じています。

 

5年後はどんな生き方、働き方をしていたいといったイメージはありますか。

実は、4 月から建築系の大学院に行くことが決まってまして。その院では、古い建物をつかったまちづくりのプロジェクトなどをやってたり、いまは小学校のトイレの改修や実際に社会に出てワークショップなどをしています。そういったことがいま自分の関心の高い分野で、もう一度建築について学びなおしてみようかと。

そのあとに、今度こそ小さな設計事務所で働きたいですね。

単に、新築とか中古住宅とかにこだわらない、でも空き家再生にこだわり新築を否定するのでもない、その建物を使う人に選択肢を伝えられる、そんな建築の仕事をしていきたいです。すぐに、というわけではないですが、最終的には和歌山に戻ってきたいですね。

 

最後に、「あなたにとって働くこととは」

「動き続けること」「動き続けていきたい」と思っています。

ずっと立ち止まって考えることが性に合ってないのか、自分自身もどれが正しいか深く考えることなく、色々な分野に飛び込む中で、改めて自分が何がしたいのかについて気づくことになりました。

動き続けること、そうして出会えるものが「働く」「仕事」になったらすごく素敵だと思いますし、そうなるように頑張りたいです。

(文責:さかもとゆり)

 

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たきもとつよし(Takimoto  Tsuyoshi

1989 年岩出市生まれ。
大学卒業後、いくつかの仕事をへて、今年4月から大阪の大学院へ。
休日はイベントに参加したり、街歩きしたり。

 

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Categories: 若者インタビュー

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