金融系事務員の増田さんと一緒に考える働くなかで気づいた価値観を仕事に変えていくはたらき方

働くなかで、学生時代には考えもしなかった仕事の一面がみえてきたり、自分が仕事のどういったところに面白さや価値を感じるかということに気づいたりした経験のある方も、少なくないのではないでしょうか。
今回インタビューさせていただいた増田さんは、自分の今の働き方と向きあう中で考えている2つの道について語ってくださいました。

 

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写真増田 春美(Masuda Harumi

1988年和歌山市生まれ。
地元の金融系企業で一般職の事務員として働く。
学生時代は、弓道に打ち込む体育会系な一面も併せ持つ。

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大学時代に就職活動を始める際、就職先として具体的に考えたのが“金融業”。
ただその時は、強くこの業界で働きたいと思って決めたわけではなかったそうです。

 

親類に、金融業界で働く方が多かったんです。
当時、特に興味のある仕事というのが思いつかなかった中で、身近な金融業が一番まだ関心を持てるかな、と今の会社で働こうと決めたように思います。

 

それでも、実際に働いてみると、学生時代には考えてもいなかった仕事の面白い面も見えてきたそうです。
例えば、窓口の業務。一見すると単純な事務処理に見えるのですが、外回り営業以外でお客様と接することができる大切な機会になっていると言います。

 

窓口に来られた方の生活の状況を踏まえてお話をお伺いする中で、その方に最適な商品を提案できる。私たち一般職は、外に営業に行って新規のお客様に出会うような仕事はできないですが、営業職とは違った方法でお客様に価値を提供でき、それが自社の利益にもつながっていると思える瞬間は、すごく面白いなと思いますね。

 

ただ、そうやって仕事の面白い面に気づいていくほどに、今の仕事への違和感や限界が見えてきているとも言います。

先ほどやりがいとして語ってくださった窓口のお客様への商品の提案。実際に契約に至ったとしても、今の人事制度の中では個人の成果としては反映されないそうです。
営業職のようにノルマをかせられているわけではありません。また、自分の営業を通じて支店の売上が伸びれば、支店全体としての給料の配分は良くなると言います。ただ、あくまで横並びに良くなるだけ。自分自身の仕事が評価されているわけではないと感じています。

また、お客様に商品を提案するために色々と勉強していく中で、こういう付加価値のある商品があれば、もっと良いものを提供できると思うこともしばしば。ただ、現状ではそのような価値ある新規商品を提案できる状況にはないそうです。

 

仕事で活かせる資格の勉強や、窓口のお客様への商品提案など、やればやるほど面白さややりがいを感じる仕事もたくさんあって、もっと積極的に取り組みたいという気持ちももちろんあります。ただ、それがきちんと評価されていると感じられるのが“給料”という制度だと思うんです。そこにきちんと成果が反映されてこないということに、頑張ろうとするほどに違和感を覚えてしまう。
それでもまだ、商品自体が本気でお客様のためになると自信を持って進められるものであれば良いのかもしれないのですが、他社製品などと比較する中で、心から提案しきれない自分もいて…。

 

一方、今の仕事で自分ができることに限界を感じてくるのと同時に、学生時代から好きだった“ものづくり”ということに再び関心が出てきたそうです。
目に見えるものをつくるのが好きで、学生時代の部活動でも、部のホームページの運営を一手に引き受けていたm増田さんですが、就職を考える際には「ものをつくる=理系の仕事」というイメージが先行しており、文系の就職先として検討することもなかったと言います。
ただ、就職後色々と調べていく中で、文系でも携われるものづくりに関する仕事が世の中にはたくさんあるということに気付きました。

 

就職面接のとき、今の会社の人事担当の方から、「金融業界では、会社ごとに商品に大きな違いは見えづらい。私たちがお客様に対して提供する商品は、お客様に対して真摯に向き合う“人間力”になります。」という言葉をいただきました。
すごく魅力的な言葉だと思いますが、働く中で私はやはり目に見える、価値あるものを商品としてお客様に伝えていきたい。そういった価値あるものを生み出せる仕事をすることを大切にしていきたいと思うんです。

 

近々結婚を予定している増田さん。
働くなかで徐々に見えてきた自分の仕事に対する価値観を踏まえて今後の働き方を模索していると言います。

もし、今の会社で仕事を続けていくとするなら、自社の商品を一覧化してわかりやすく顧客に伝えるシートの作成など、“ものをつくる”ということを通じてお客様に価値を届けていけるような働き方をしていきたいそうです。ただ、大きな会社である分、そういった仕事に携われる部署に配属されるかどうかはわかりません。

そのため、プライベートの変化を転機に今の会社からの転職も視野にいれているそうです。

 

大きな会社でなくても良いですし、結婚を機に大阪に住む予定なので和歌山で勤める必要もありません。
ただ、ものをつくるということに携われる、自分のスキル高められるような仕事をしていきたいと考えています。CADの勉強なんかを始めてみたいですね。
あとは、結婚するということもあるので、結婚して子どもが生まれても続けていけるような会社を見つけたいと思います。学生時代に就職するときは“福利厚生”なんて考えたこともなかったのですが、働いてみて気づくことって本当にたくさんあるな、と思いますね。

 

仕事を始める際に、自分がどんな働き方をしたいか、仕事のどんな面を大切にしたいかなど、十分考えた上で働くことができるのなら、本当にステキなことだと思います。
ただ、どんなに外から情報を集めても、実際にやってみないとわからないことが出てくるのもまた事実。
大切なのは、働くなかで「あれっ?」っと思ったときに、きちんと自分と向き合って考えていけるか、どう行動していくかなのではないでしょうか。

増田さんが答えてくれた結婚後の働き方は、「5年後どんな仕事をしているか」という話題の中で出てきた話。2つ並べて話してくださるほど、今自分と向き合って考え続けているのかなと感じられました。
考えぬいた末選んだ道は、なだらかではないかもしれないけれど、きっと真摯に取り組んでいける仕事になるのでしょう。
1年後の増田さんがどんな働き方をしているのか、話を聞けるのがすごく楽しみですね。

Categories: 若者インタビュー

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